ちぎり、ちぎり、ちぎり
「おい!またこんなにちらかして」
お文さんとの結婚が決まった。勢いで返事をしてしまった物の、胸に浮かぶは後悔の念だけ。
何か黒い、いや、限りなく黒に近い灰色の物が、ぐらぐらと腹のそこでのた打ち回っている。
いらいらと、口に出すことも出来ず(まさか、先生の前で!)ただ蝋燭を一本だけともし、深夜、一人、塾にいた。
ちぎり、ちぎり、ちぎり
「おいっ!きいとるんか、久坂!」
ひょいと視界に入ってきたのは、晋作。どこか上品な物腰、毛並の良い、僕の片割れ。
とんでもない、じゃじゃ馬。
「高杉」
「あー、もう、お前無意識だろ!こんなに散らかして」
フン、と鼻を鳴らし、せっせと僕のちぎった(僕のイライラの丈だ)紙片を集め始める。
ちょこんと僕の前に下げられた頭に、そっと両手を伸ばしてみた。そのまま、よしよしとなでてみる。
「よしよし、晋作」
いつもならば、飛び上がってでも跳ね除けるくせに、今日は彼はおとなしく。
「・・・・珍しいな」
搾り出したような声が、もれた。
珍しいだって?僕がしようとしたら、いつも逃げ出すのは君のほうだろう?珍しいのは、君のほう、じゃないか。
「・・・手なずけた気分」
僕の大好きな、とんだじゃじゃ馬。ああ、このままかき抱いて、好きだよって伝えられたらどんなに素敵だろう?
久坂→高杉。でも本当は久坂(→)(←)高杉。
久坂が悩んでるのは高杉のせいと見せかけて、新婚生活への不安だったり。
シリアスなのに書いてるときに頭ん中でギャグ思いついて大変でした(笑)